巻機山と苗場山から戻って3日後に剱岳登山のため山小屋に電話予約したところ、7月24日剣山荘、25日剱御前小舎の予約が取れた。剱岳、立山トレッキングの様子はこのブログの最初の所で記している。2019年は7月末まで14座に登れたが、この年もやはり8月はどこにも行けなかった。地域の行事、隣家のお葬式、息子たちの帰省、伯母さんの意識不明入院、自然保護管理員としての点検登山など忙しく、8月末になってようやく次の山行計画に着手する気になった。長期天気予報と伯母さんの容態変化をにらみながら計画したのは鹿島槍ヶ岳である。ここは昨年秋の台風で山行直前に中止した山である。今回は2018年のように長雨もなく良き山行になりそうな予感がする。

柏原新道入口、爺ヶ岳ピストン登山者も多い

柏原新道から爺ヶ岳、冷池山荘へ

2019年9月4日、昼過ぎ晴れの酒田を出発した私は、夕方には雨の道の駅白馬で蕎麦をすすっていた。小谷村に入ったあたりから小雨になり白馬村に入ったころにはすっかり雨になった。失敗したかなと思いつつ、明日に期待しながら車中の人となった。5日、4時20分、雨はやんでいる。すぐに出発し、柏原新道登山口駐車場に車を潜り込ませた。6時10分登山開始。深田久弥は「日本百名山」鹿島槍岳の篇で『鹿島槍は私の大好きな山である。(中略)北槍と南槍の両峰がキッとせり上がっていて、その二つをつなぐ、やや傾いだ吊尾根、その品のいい美しさは見倦きることがない』と記している。また、積雪期初登頂のことを書いているが、私の所属する八幡山岳会の大先輩が冬山登山で命を落としている山でもある。さて、ゆっくり目に登ろうとしたが、整備された柏原新道は気持ちよく標高を上げてくれる。階段もあれば土の道もあるという変化に富んだ足元。曲がった道と所どころからの眺望は飽きさせない。2時間で石ベンチに着き少し休憩し、9時10分にひょっこり種池山荘に着いてしまった。この時間では名物のピザをやっていない。5分休憩して爺ヶ岳に向かう。途中振り返ると種池山荘の右に先々月登ったゴツゴツした剱岳が見える。唐松岳でも見た風景だがなんだか身近な感じがしてしまう。東側から雲が湧きたつ冷池山荘へは11時20分に着いた。

爺ヶ岳から種池山荘、背景は立山連峰

南峰のみの登頂で下山

昼食を食べたら登ろうかとも思ったが、午後から雨の予報なので小屋に入る。。午後1時、休んでいるうちに雨が降り出し次第に強くなってきた。何人もの人が談話室で登山自慢をしているのを漫画『岳』を読みながら聞く。翌、6日5時20分頂上に向けて遅い出発。6時20分布引山を過ぎたら雷鳥の親子と出会う。5、6羽はいるだろうか、すっかり成長したヒナを連れた雷鳥を見るのは初めてである。そういえば、以前NHKの日本百名山で登山家三戸呂氏が雷鳥の鳴きまねを披露したことを思い出した。得した気分で南峰の最後の急坂を登る。南には爺が岳の稜線の向こう、雲海の彼方に富士山が顔を見せている。午前7時、鹿島槍ヶ岳南峰に登頂する。程よく広い頂上は風雪にさらされた黄色い標識が出迎えてくれる。私は北峰には行かず最高点のここで良しとする。小母さん二人が登って来て、八峰キレットへ消えていった。山頂を堪能して下山する。8時35分冷池山荘に着いたらヘリ輸送の最中で20分足止めとなる。10時30分種池山荘、13時前、登山口に下山した。

鹿島槍ヶ岳の双耳峰、手前が布引山

大町温泉で入浴休養後、野麦街道へ

大町温泉で登山の汗を流し、次にどこに行こうか思案した。候補は2つ。焼山と乗鞍岳である。どちらもバスを利用しないと登山口まで行けない。焼山はコースタイム7時間、乗鞍岳はあっという間の3時間足らずである。決めかね、松本市から国道158号、野麦街道に入る。新島々まで鉄道と並走し、8キロ先の道の駅風穴の郷を今夜の宿にした。山道国道にもかかわらず、松本市と飛騨高山市を結ぶ国道のため夜間でも大型トラックの通行が多い。道の駅は国道のすぐ傍、トラックも出入りするしうるさくて安眠できない。寝ぼけ眼の翌朝、乗鞍岳に行くと決めた。

鹿島槍ヶ岳山頂

著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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