2019年7月11日木曜日、奥に筋状の雲、手前に放射状の雲が広がる美しい朝焼けの中、4時15分に起きた。朝焼けは概して天気が悪くなる予兆である。祓川コース、かぐらスキー場第2リフト駐車場から5時登山開始する。前日車中泊した中年男性は今起きてきた。朝に着いた車は2台、すでに登ったのだろう、人はいない。朝露の中、車道を登ること25分で和田小屋に出る。ここからスキー場の木道を抜け、まもなく右のブナやダケカンバの登山道となる。最初は木道が続くが、やがて傾斜は急になり、滑る丸い石、木の根の張り出している個所も多く、慎重に登らざるを得ない。1時間ほど登ったので最初の休憩をとる。登っては下り、30分ほどで視界の開けた休憩ベンチのある下ノ芝に出る。イワイチョウが可憐な白い花をつけている。ここからさらに30分登り、6時50分に笹原の広がる中ノ芝で朝食休憩をとることにした。
上越国境の山々に雲滝が
中ノ芝でコンビニ弁当を食べながら東を見れば昨日登った巻機山が見えるはずなのだが。上越国境の山々を眺めると、稜線から滝雲が下りているようだ。そういえば越後駒ケ岳枝折峠の滝雲は有名で、これを撮るために夜明け前、山道を登ってくるカメラマンが多いと聞く。腹を満たし展望を楽しんだ後、笹のおおう山腹を登り上ノ芝を通過し、北麓からの小松原コース分岐に出る。残雪を横切ると標高2030mの神楽ヶ峰の突起に立つ。神楽ヶ峰を越えて稜線を南に進むとすぐに富士見坂になる。急斜面を右に巻くように下りていくと、途中に雷清水と呼ばれる水場がある。今日は水量が多いようだ。苗場山の北東斜面を眺めながらあれを登り返すための力水を2杯飲む。富士見坂を下りきった鞍部からは、最後の登りとなる雲尾坂である。ジクザクにつけられた斜面の急坂を同じペースで歩数を刻んでいく。
天上の高層湿原が広がる
雷清水から35分、木道の階段を登りふと傾斜が緩むと、頂上湿原の東端に達する。ここで登りは終わりだ。広い山頂は無数の池塘が存在し、周囲10㎞もの高層湿原を形成している。整備された木道を苗場山自然体験交流センターの建物を目指して歩を進めると、10分足らずで建物の裏手にポツンと「苗場山山頂」の標識が立っている。8時40分とうちゃこ。標識の隣の一等三角点は最初に設置されたもののようで、点が旧字体の點である。カメラを取り出していたら、長野県栄村から登ってきた老夫婦が撮りましょうかと声をかけてきた。二人の会話を聞いていると毎週登って来ているようだった。栄村からの小赤沢コースは最短で、標高差800余m、登り3時間プラス湿原の中を歩くだけである。その申し出は丁寧に断り、雲が湧いてきたこともあり、湿原逍遥も果たさず10分の滞在で下山することにした。
街道の湯、道の駅みつまたに寄る
8時50分下山開始。10時10分中ノ芝で休憩していたら、女性物のメガネがベンチの下に落ちていた。近視用なのによく気づかず歩いたものだと感心しながらも、眼鏡に重しをくくりつけベンチの片隅に置いてきた。戻りに見つけてくれればよいが。かぐら駐車場に下山したのは11時40分であった。駐車料金の請求もなかったが、小屋の料金箱に500円玉を入れた。山道を国道17号まで下り、道の駅みつまたに着いたら雨が落ちてきた。隣にある街道の湯に入り二日分の汗を流した後、みつまたで肉そばを食べた。ここは道の駅では珍しいモンベルのアウトドア用品を扱っているところである。ここから14㎞ほど南に苗場スキー場がある。ユーミンの冬の苗場コンサートは40回を超えたようだ。次は秋に平標山に登り、ドラゴンゴンドラで苗場山の紅葉を楽しみたいと考えている。