5月16日、薬師の湯で汗を流し、蕎麦とわらじカツの昼食を摂った。明日は雲取山にするか天城山に向かうか悩ましいが、足の疲労は雲取山の10時間のトレッキングに耐えられそうにない。天気も思わしくないので天城に向かうことにして、国道299号を南下した。国道16号に入り米軍横田基地を観られたのは僥倖であった。八王子街道を南下し厚木ICから小田原厚木道路、国道135号を経由して伊東市の道の駅伊東マリンタウンに着いたのは午後9時を回っていた。ここは2010年週刊文春読者が選ぶ「訪れたい道の駅」で日本一の道の駅に選ばれたそうで、広さ、施設の充実度、ロケーションともに素晴らしいことが想像できる。というのは、なにせ生温かい雨が降る日曜日の夜中なので良さが分からないのである。駐車場をぶらり一回りして、10時過ぎ寝ることにした。

天城縦走路入口(天城高原ゴルフ場側)

吹き荒れる強い風と・・・

5月17日、5時半起床。雨雲は低く垂れこめ、風が強い。天気予報は10時ころから荒れるとの見立てだ。とりあえず登山口まで行って、そこで判断することにした。7時、登山口駐車場に車はない。標高が高いこともあってか風雨ともに強くなった。10分待っても登山者が来ないので車道を下りていくと1台の車と連れ違う。また、1台登ってくるのを見てUターンすることにした。天気の様子見であろう、駐車場ではしばらく動きがなかったが、1組の夫婦が雨具を着て出発の準備にかかった。それでは私もと車を降り、ハッチバックを開けるとドアが風で持っていかれそうである。ザックカバーをし、レインハットを被り、雨具を着こみトレッキングポールは1本で、8時10分天城高原コルフ場脇の天城縦走路入口を万三郎岳に向かい一旦下る。

万二郎岳

見事なアマギシャクナゲ

天城山は、伊豆半島の中央部の東西に広がる連山の総称である。天城峠から伊豆の最高峰万三郎岳、万二郎岳を通り天城高原ゴルフ場を縦走する約16㎞のコースが人気である。5月下旬はアセビ、ツツジ、シャクナゲが見ごろとなっている。出発から20分ほど、ヒメシャラの大樹に感嘆し四辻から左にコースをとる。万二郎岳まで約1時間の行程である。多くの初心者が通るのであろう。コースにはナンバーを印した標識が100メートルおきに立ててあるので迷うことはない。中間点あたりだろうか、右からの土石流の跡が現れる。岩石を越えていよいよ万二郎岳の急登に入る。登山道は深くえぐられており、何年前の整備か分からないが、新しい木の階段も所どころ壊れている。トウゴクミツバツツジとアセビのトンネルを抜け、木の階段を登ると万二郎岳の平らな山頂に着いた。

トウゴクミツバツツジ(左)とアマギシャクナゲ

シャクナゲのトンネルを抜けると

万二郎岳から最高峰の万三郎岳へは東から西に標高差約100mのアップダウンの尾根道を歩く。長い年月、多くのトレッカーにより土の登山道は深くえぐられている。道の両側にはカタクリが咲き雨の登山を慰めてくれるが、ゆっくり眺めるゆとりはない。南からの風が吹き上げてきて樹木を揺らす。風は毎秒15mは越えているだろうが、樹々に守られているので吹き飛ばされることはない。馬の背を過ぎ石楠立(はなだて)の看板からは満開のシャクナゲが出迎えてくれた。瑞牆山のシャクナゲも見事だったが、ここのは木の数、花の量ともに圧倒的である。晴れていたらと恨み言を言いつつ、10時30分過ぎ目指す万三郎岳に着いた。先行した夫婦は馬の背の辺りで抜いたので山頂には誰もいない。ベンチにスマホを立て、証拠写真をとる。画像を確かめるとそこには赤い合羽を着たひどい顔の老人があった。10分の休憩、シャクナゲコースを戻ろうか迷ったが、雨がひどいのでスリップ事故を回避するため来た道を戻ることとし、登山口に着いたのは12時40分であった。

万三郎岳山頂の雨と風に疲れ切った筆者
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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