道の駅小松オアシスに着いたのは午後9時だった。いよ小松ICを下りたのがいけなかったのか、夜道で看板が判別できなかったためか、一般道で道の駅に上がるのに苦労した。斜面に作られていたのと、高速道路のサービスエリアと隣接していたことなど、事前の情報を入れていなかったため、どこに車を停めていいのか分からなかった。とりあえず車中泊らしい車の近くで明日に備えることにした。5月22日、午前5時40分国道11号から県道12号に入り、約20㎞先の石鎚山登山口を目指した。県道はだんだん山の中へ入っていき。ナビはまもなく目的地と告げるのだが、駐車場が分からず、温泉旅館京屋を素通りし奥のバス停駐車場まで行ってしまった。ここちゃう雰囲気で戻り、京屋の建物をくぐり駐車場に入れたのが6時20分であった。リフト運転開始まで2時間もある。幕の内弁当を食べ、小説を読んでいるうちに登山者の車が増えてきた。

石鎚山ロープウェイ山頂成就駅に下り立つ登山者

試しの鎖で腿に疲労

8時過ぎ準備を終え、階段の九十九折を石鎚山登山ープウェイ山麓下谷駅に上がる。このロープウェイの高低差は839mで、駒ケ岳の950m、新穂高の845mに続いて日本で三番目である。8時30分、ゴンドラは20人ほどを乗せ出発し、約8分で成就駅に着く。ゆるやかな山道を800mほど歩き、石鎚神社中宮成就社に着く。ここからは御神体石鎚山を正面にして拝めるところなのだが、詣でるのを忘れてしまい、すぐ登山口神門をくぐってしまった。八丁坂を1000m下り鞍部から登り1000mに変わる。樹林帯の表参道成就コースを登っていくこと30分で「試しの鎖」に着く。試しとあれば本番前に登らざるをえまい。石鎚山には4つの鎖場があるが、ここが一番長い74mである。5、60㎝もある鉄の棒の両端が丸まって鎖となっているため、手掛かりだけでなく足掛かりとしても使える。頂には石仏があり、弥山が眺められた。後で分かったのだが、下りの鎖があり、最後の着地が大変な一番の難所だった。「反対側が下りの鎖で大変険しい岩場。自身のない方は迂回路へ」の看板を見落とした。どうりで誰も登ってこなかったはずだ。

試しの鎖の下りの鎖

一の鎖、二の鎖、三の鎖をパス、パス、パス

試しの鎖を何とか通過し、夜明峠に着いたのは10時5分である。ここは麓から歩いて登ってこなければならなかった昔、ここで夜明けを待って進んだところだそうだ。ここからは弥山にある頂上山荘と石鎚神社、天狗岳から南尖峰に至る石鎚山の全景が見渡せ、切れ落ちた岩峰が修験の山であることを物語る。夜明峠から10分で一の鎖に着いたが、太ももが鎖に取りつくことを許さない。長いドライブで脚がなまったか。33mの一の鎖をパスして迂回路を通り、土小屋コースの合流点、二の鎖小屋で休憩する。二の鎖は65mと長い。試しの鎖を登り下りしたことで、日頃使う登山の筋肉とは違うところを使ったため、大腿筋が思わしくない。ここも登山道を迂回して、三の鎖に備えることにした。最後の三の鎖は68mである。いっぱいの人が取りついてなかなか進まない状況だ。最後の鎖は登ろうと思ったが、途中で遅い人を待つの御免だ。ここもパスし、仮設の階段を迂回し弥山頂上に向かう。

石鎚山弥山の奥宮頂上社

西日本の最高峰 天狗岳

石鎚山弥山(みせん)1974mに10時50分に着く。頂上山荘と神社の間の岩には、これでもかというほど鎖が巻かれている。鎖登頂の達成感を顔にだして山頂に着く人のリュックを見ると、さっき中腹にいた人のようだ。中国四国最高峰の天狗岳1982mに向かう。天狗岳へは右側斜面の岩場を滑落しないように注意して進まなくてはならない。最初の岩場を注意して下りると普通の登山道となり、やがて右傾斜の一枚岩をトラバースする。手を添え何とか無事に天狗岳に着いたのは11時5分であった。麓を眺めると成就コースの白い道がくっきりと見える。東に目をやり次に登る剣山方面を眺めてもどれだか分からない。10分滞在し弥山に戻った。11時25分下山開始。八丁坂鞍部で小休止を入れ、12時50分に成就駅、ロープウェイを10分待ち、午後1時10分旅館京屋駐車場へ戻った。これで今回の山行4日目にして初登頂の石鎚山が終わった。さあ今日中に、剣山に登るぞ。

天狗岳の切れ落ちた岩峰
天狗岳山頂、その先に剣山があるはずだが・・・
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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