午後1時過ぎに石鎚山を下山した私は、今日中に剣山に登るため県道12号を下った。いよ西条ICで松山自動車道に入り、徳島自動車道美馬ICで下り、国道438号で四国山地を南下するのだ。昼食は菓子パンをかじりながら曲がりくねった山道を下り、高速の後はまた四国の山道を登る。四国の山は全体低いため、国道、県道、林道が縦横に縫っている。どこにでも行けるが、美馬ICから剣山見の越バス停までは約40㎞を1時間30分かかる。最後の15㎞は道幅が狭く、カーブも多いのに加えて、下山してくるバスや自家用車が多く安全運転をしなければならなかった。剣山リフトの営業時間は午後4時45分だが、所要時間15分を考慮すると4時30分まで切符を買うことができるかぎりぎりである。
リフト終了10分前に滑り込み
約3時間のドライブで、剣山見の越バス停駐車場に着いたのは午後4時15分であった。駐車場には数台の車があり、帰り支度をしている車が多い。石鎚山に登ったままのリュックをすぐ担ぎ、リフト乗り場の階段を駆け上がる。片道切符を買い、リフトに乗る。足で歩けば50分の道を、リフトは15分で上がるのだが、中国山地を一望しながら急く気持ちを落ち着かせる。4時35分、西島駅に下り立つ。大剣神社まで周遊したいところだが、時間がないので、笹の茂る最短の登山道を登ると15分で刀掛の松に着く。松の枯れ木が横たわっているだけなのだが、伝説によると、源氏に負け落ち延びる安徳帝が従者を気遣い宝剣を掛けるようにいった松だそうだ。ただし、名前の表示があるだけでその説明文はない。
頂上ヒュッテから木道で山頂に
刀掛の松を過ぎると行場、一の森と大剣神社の分岐になる。尾根沿いの登山道を15分ほど登り、剣山本宮の額が掛かる鳥居をくぐると剣山頂上ヒュッテに着く。昼にはうどんなどを出す宿泊施設だが、この時間では店じまいである。ヒュッテの脇の道を行くと木道が三本に延びていてどれが頂上への道なのか判別できないが、真ん中の道を進む。頂上台地はなだらかで平家の馬場と呼ばれるそうだ。今は木道が取り巻いており、その一等地に「剣山国定公園 標高1955m」の看板がある。その脇には石積みが丸く二段積まれ、太い注連縄が巻かれてある。三脚を伸ばして記念撮影を済ませ、ミヤマクマザサが群生する次郎笈(じろうぎゅう)の方角に目をやれば、四国山地の広さが実感できる。頂上から次郎笈までは往復2時間かかり、さらに見の越まで1時間である。今5時25分、次郎笈は諦め下山することにした。
剣神社に参拝し、大山へ
登ってきた道を引き返す。リフト営業を止めた西島駅を5時45分通過し、ブナ林を剣神社まで約300m下る。道は若干濡れているものの整備されている。30分で剣神社に着き、登山の無事を報告し、これからのドライブの無事を祈った。車道を登り返し見の越バス停駐車場に着いたのは6時20分のことで、登山時間2時間の慌ただしい登山となった。それでも2019年5月22日は、四国の百名山2座を登ったことになる。気持ちを落ち着かせ、伯耆大山に戻ることにする。国道438号を坂出市まで下り、瀬戸中央自動車道、岡山自動車道へと進み、中国自動車道を経て米子自動車道を北上する。蒜山高原SAに着いたのは24時を回ろうとしていた。ここまで車は1880㎞走った。