高妻山を昼までに下りて、信州善光寺に寄った。「一生に一度は善光寺参り」と江戸時代から伝えられているここは無宗派の仏教寺院なので、「南無釈迦牟尼仏」と曹洞宗のお唱えでお参りをし、6000円の数珠を買い求めた。明日登る山を浅間山と決め、国道18号、北国街道を南下し、東御市にある道の駅みまきを今夜の宿にすることにした。食堂の御牧苑は法事の団体の貸し切りということで、近くのふるさとの草笛でそばを食べていたら北の山から遠雷が聞こえる。明日の天気を心配しながら、道の駅に戻り御牧乃湯に入り、二日目の車中泊と相成った。

トーミの頭から富士山遠望

浅間山は警戒レベル2、黒斑山まで

翌朝、7月1日午前4時10分に起き、浅間山の方角を見ると山頂付近は厚い雲に覆われている。チェリーパークラインをうねうね北上し、車坂峠に向かう。浅間山は標高2568mの活発な活火山であることから、入山規制がしかれている。この時は警戒レベル2ということで、2㎞外側の仙人岳まで入ることができたが、その手前の最高峰黒斑山2404mまで登ることにした。車坂峠の登山口から表コースに入ったのは5時50分。針葉樹林を朝日の差し込む方角へ標高を上げていくと、火口から3.5㎞あたりだろうか、赤い屋根の噴火避難小屋がある。6時45分、槍ヶ鞘に出たら東側の展望が開け、朝霧が上がってきた。トーミの頭の岩壁がいい塩梅に見える。10分後トーミの頭に立てば、南に富士山が顔を見せてくれるが、浅間山は雲の中でまったく見えない。帰りに期待することにして、樹林の道を進み今日の山頂黒斑山に着いたのは7時10分。登頂した証拠写真を自撮りしてトーミの頭にもどると、すっかり晴れ上がった浅間山が現れた。西には雪の槍、穂高、北アルプスの峰が見える。10分展望を楽しみ、大満足して中コースを戻り8時20分車坂峠に着くとすぐ四阿山に登るため菅平高原に向かった。

黒斑山からの戻り、朝日をバックの浅間山

ラグビーの聖地菅平から根子岳へ

車坂峠から湯ノ丸高原を北へ曲がり国道406号を菅平高原に向かう。菅平は大学、高校ラグビー部の合宿所で知られるところで、もうあちこちに練習場がある。2019年8月には820チームが訪れたそうだ。国道から牧場への道に入り、1590mの駐車場へは10時に着いた。10時12分まず根子岳へ向かう。根子岳はウメバチソウが田中澄江の花の百名山に数えられている。ガレ場のまっくぐな道は日差しが強くバンダナで後頭部を隠すが、45分で水分休憩を取らざるを得ない。さらに30分歩き2207mの根子岳に着く。大きめの祠には「花の百名山」の看板が置かれている。天気の良い日曜日、家族連れが多い。南東の笹原の斜面の向こうに樹林に覆われた四阿山を見ながら昼食休憩を30分とる。少し急な岩場を下り、笹原の最下部2039mからは230m登り返さなければならない。笹原から樹林帯に入ったところで大変なことになった。無数の蚊が顔にまとわりつくので、防虫ネットを被ることにする。前日の雨で元気いっぱいに飛び回る蚊群の中、ぬかるんだ斜面を登ると1時間余りで分岐に出た。

根子岳から四阿山を望む

四阿山、斜面は蚊、山頂は蝿がいっぱい

左の山頂からハンカチで顔をぬぐいながら老夫婦が木道を下りてくる。山頂まで500mほどの道を進むと石垣に囲まれた祠が現れるがここは山頂ではない。長野県側の最高峰の印なのだろうか。さらに2分ほど行った祠が2354mの山頂である。展望抜群の山頂であるが、7月に入ったというのに小さな黄色いハエが五月蝿く飛び回り、ネットを上げることができない。根子岳を一枚写真におさめ早々に下山することにした。四阿山分岐を菅平牧場に下りるコースに進むと、岩場の斜面にさっきの老夫婦が足をさすっている。聞くと奥さんの脚が攣ったのだという。芍薬甘草を上げますかと言ったらすでに飲んだという。今日は気温も高いので熱中症手前の症状なのだろう。水分を摂ってしばらく休憩して乗りましょうといって別れた。中四阿、小四阿の尾根道を下り、大明神沢を横切る。牧場の外側を歩き、アーチをくぐり、舗装路を進み駐車場へは3時5分に着いた。帰りは、保科温泉に浸かり、小布施PAで「栗きんとんろーる」を買った。

四阿山頂上は群馬県嬬恋村
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です