早池峰神社から道の駅はやちねに寄り、盛岡市の日帰り温泉施設で汗を流した。昼飯と一緒にビールを一杯やりたいところだが、夕方に馬返しキャンプ場に入らなくてはならないため我慢した。温泉施設から岩手山が遠望できる。明日晴れてくれるだろうか。このときはガラケーだったので、詳しい天気予報はわからない。日が暮れる前に馬返しへの一本道を走り、駐車場に着いたのは午後8時前であった。

3日の夕方、馬返し途中からの岩手山

曇り空の中登山開始

4時15分起きだしてトイレを済ませ戻ったら、2つ隣に春日部ナンバーがあった。昨日早池峰で話しながら来た人の車だ。すでに出発したようだ。身支度を整え5時少し前に登山開始。コースタイムは4時間30分、林の道を進み二合目に着いたのは6時5分、休憩を入れた。深田久弥は、11月の初め網張温泉から登り、外輪あたりから雪が降り始め、清浄な白色に装われた頂上となった、と書いている。今登山者の多いコースは、馬返し口と焼走り口であろう。松川コースも網張コースも時間がかかり、健脚者でないと日帰りは難しい。そのかわり1泊すれば、鬼ケ城から迫力ある火口原を眺めることができる、地質好きにはたまらないコースだ。

八合目手前からの岩手山

御蔵石から濃霧、雨具を着る

四合目、五合目とすすむうちに霧が濃くなり、上着を濡らすようになった。御蔵石で青色のレインスーツを着けた。10年くらい前に黄色のゴアテックスに一緒に買ったもので、初めて袖を通す。八合目の避難小屋へは8時10分着。霧がいよいよ濃くなり山頂はぼんやりとみえる。不動平の標識は山頂まで1.2㎞とある。ガレ場の登山道をジクザクに登る。石仏がケルンに囲まれ、ところどころにコマクサが咲いている。山頂の薬師岳には左の道が近いので、左に折れた。外輪についたころ益々風か強まり、歩けないほどになってきた。外輪には石仏が数十メートルおきに建っている。益々風が強まり、立っていられないほどになってきた。あと15分ほどであったが登頂は断念して、泣く泣く下山することにした。途中、10数名の団体が右のコースを登っていく。不動平に着いたら風は弱まり、八合目の避難小屋に着いたら霧が晴れ、山頂が見える。一体全体この1時間足らずは何だったのだろう。また、登りに来ることもあろう。姫神山と合わせて、今度は焼走りから登ろうと心に決め、新道を下山し、12時馬返しキャンプ場に着いた。

外輪山近くのガレ場に咲くコマクサ

登山道に砂礫を詰めた黒い袋が

登山道の整備の工夫は、その山で違う。湿地を荒らされたくなければ木道を整備する。斜面の登山道を掘られたくなければ、階段状に擬木などで整備する。段差があって上り下りに負担があるようなら、石を置いたりしてワンステップ軽減する。ここでは、たぶん砂礫を詰めたであろう黒い袋が二つ、三つ置かれてある。また、土留めの役割として登山道の幅だけ6つも並べられてあったりする。耐久性は短かろうが、袋が破れればまた詰め直せばよい。良い工夫だと思った。登山道の整備は、東北の山は泊りの山小屋が少ないので、山岳会、あるいはボランティアに任せられているのか、概して整備されているとは言い難い。メインコースだけでも荒れるにまかせることなく、予算を付けて整備してほしいものである。

土留めの働きをしている砂袋
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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