早池峰を名前を初めて聞いたのは、同級生のK君からだった。「この前、ハヤチネに行って、ウスユキソウを見てきた。」ハヤチネってどこ。コマネチの間違い。ウスユキソウってソウがつくから植物の名前か。疑問だらけなのに変なプライドが邪魔し、問い返せなかった。あとで調べて、ハヤチネとは北上山地の山の名前であり、ウスユキソウとは日本のエーデルワイスであることを知った。40年近く前のことである。

2013年に下見に河原の坊まで

2013年7月、妻と大学4年の次男と岩手県花巻市の観光に行った。長男が盛岡に勤めていたからである。観光の途中、私は単独で早池峰に登るため、河原の坊に降ろして、午後迎えに来てもらうことにした。その間妻と次男は花巻観光にという訳である。花巻市の県道を東に向かい、岳から林の狭い小道を河原の坊へ着いた。しかし、午後、対向車とすれ違う自信がないという妻の一言で早池峰登山を断念することとなった。

河原の坊の登山届ボックス

憧れが現実に!早池峰に登る

それから2年後の2015年7月3日、ついに30数年あこがれの早池峰の登る日が来た。前日夕方、酒田を出発、河原の坊駐車場で車中泊。5時40分登山開始。沢沿いの道をしばらく行くと、砂礫の道になる。段々傾斜が急になり大きな岩がそこかしこに現れる。ミヤマオダマキ、ミヤマキンバイ、ハクサンチドリなどの花が迎えてくれる。もちろん岩の間にハヤチネウスユキソウもうっすらと雪を被っているように見える苞葉を揺らし歓迎してくれる。(ちなみに、田中澄江『花の百名山』ては、早池峰山の花はチシマコザクラである。木曽駒ケ岳にヒメウスユキソウが選ばれている。)打石からの岩場の連続を上がると、急に平らなところにでた。小屋もある。ようやく山頂についた。明日登る予定の岩手山が雲の上に顔を出している。鳥海山はぼんやりして特定できない。記念撮影をし、早々に下りた。

山頂の祠

自然保護活動に積極的に取組

鉄梯子を下ったあたりで、腕章を巻きビブスを来た男女に出会った。早池峰公園保護管理をしている人たちで、高山植物の盗掘パトロールなどの活動を行っているのだそうだ。1合目辺りでは簡易トイレブースのテントがあった。早池峰はいち早く携帯トイレを持参しなければならない山なのだ。9時45分、小田越に着いた。ここから薬師岳に登れば早池峰の山容を見られるのだが、たった4時間の登山にもかかわらず疲れが出たのでやめにした。河原の坊まで一人の男性と話をしながら戻った。春日部の人で東北の山を登りに来たという。明日は岩手山、あさっては八幡平を予定しているという。明日また会えるといいですねと別れた。

携帯トイレブース

早池峰は神楽の里、そして鳥海山も

帰りの道。早池峰神社に立ち寄った。早池峰神社は神楽が有名なところでユネスコの無形文化遺産に登録されている。羽黒山、鳥海山、太平山など東北には修験の山がありその地域の神楽がある。鳥海山の麓、山形県遊佐町には杉沢比山があり、秋田県本荘市鳥海町の本海獅子舞番楽が有名である。8月のお盆に行われる杉沢比山は、私の自宅から4㎞足らずで行われるのにいまだに見に行けない。今年こそはと思っている。

早池峰神社
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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