八幡山岳会の平成28年(2016年)の県外登山は、昨年からの要望により加賀の白山と決められていた。研修部長代理として、私が白山登山の計画をプロデュースすることになった。白山登山は石川県側から別当出合から登れば標準時間は8時間ほどと、日帰りできないこともないが、室堂1泊することでゆっくりと登ることとし、さらに移動と観光に一日使う計画を立てたのである。しかし、9月1日・木曜日から3日間の休みをとれる会員は意外と少なく、私を含めて、会長以下7人の山行となった。
白山は、アルプスと八ヶ岳についで高い山である。古くから駿河の富士山、越中の立山、加賀の白山は、日本三名山、あるいは三霊山と呼ばれている。白山は加賀、飛騨、越前にまたがっているのだが、加賀と呼称するからには一番眺めが美しいからであろう。高速道を下り、野々市市に入り白山街道を南下すると遠くに白山のありがたい山容をとらえることができる。
1日目は白山比咩神社と林西寺観光
9月1日午前7時出発。レンタカーは酒田みなとICから高速道路に入り、北陸道の名立谷浜SAで昼食休憩、金沢西ICで下り、1300年祭を翌年に控えた加賀一宮、白山比咩神社を参詣した。ここは全国に2千社ある白山神社の総本社で、養老元年(717年)泰澄上人によって開山された「白山本社」である。杉木立に囲まれた境内を進み、立派な拝殿に手を合わせ明日明後日の登山の無事を祈った。参拝を終えた私たちは今日の宿、白峰温泉、春風旅館に3時過ぎ荷を下ろした。100年以上営業をつつける老舗旅館の女将から、林西寺の仏像を紹介された。歩いて3分ほどの無量光院林西寺は真宗大谷派の古刹で、白山下山佛を安置していることで有名なのである。私たちは林西寺の大黒さんから仏像の由来の説明を受けることができた。白山山頂一帯に安置されていた仏像は、明治7年の神仏分離令により白山から禅定道を担がれて下ろされ、壊される運命にあったが、時の住職が白山にあった約半分の8体の仏像を守ったのだという。白峰地区の少ない人口規模から想像できないくらい立派なお寺の本堂そして仏像の美しさに感服させられた。
イワナ料理に舌鼓
旅館に戻り、風呂に入り夕食となった。普通登山は5時登山開始がお決まりみたいなものだが、今回は漫遊登山である。明日は7時朝食、8時出発の予定である。つまり、旅館の布団にゆっくり寝られる、ということはじっくり地酒を堪能できるということになる。私と会長以外はみな呑兵衛である。宿自慢のイワナの塩焼きと山菜料理に舌鼓を打ち、盃を重ねた。宿は私たちのみの宿泊と見受けた。となれば、だれに迷惑をかけるでもない。座敷がお開きとなってから、部屋で庄内の地酒でさらにさらに親交を深めたのである。(2日目以降は次回)