2016年は図書館に勤務することになった。シフトによる勤務であったが、同僚の穴埋めで勤務することもある。所定の勤務以上に勤めると、1か月以内に代休を取らなければならない。その代休を晴れ予報の7月13日にとることにした。前日午後は参議院選挙従事の代休を取り、午後4時、大江町の古寺鉱泉に向け車を出した。古寺鉱泉から小朝日岳、大朝日岳往復は、最も短時間で日帰りできるコースである。それでも標準タイムは約10時間かかる健脚者向けコースとなっている。車は鶴岡市朝日から国道112号へ入り、月山湖から大蔵村大井沢へと南下し、さらに地蔵峠を越え古寺林道へ入り駐車場へ停めた。車は1台停まっている。

チングルマとイワカガミ

最初の急登はゆっくりとだが・・・

7月13日午前4時50分、たっぷり水を持ち朝露の中、駐車場を出発する。古寺川沿いの小径を歩くこと5分で古寺鉱泉朝陽館の橋を渡る。朝陽館は登山目的の客が泊まる宿であったが、2019年秋で営業を終了した。この日も駐車場に車がないようなので宿泊者はいなかったと思われる。朝陽館の脇を抜け、すぐに急登になる。九十九折の坂を10分も登るとハナヌキ峰までの標高差600mの稜線歩きとなる。1時間半ほどで分岐に着き、古寺山に出ると朝日連峰のパノラマが出現する。小朝日岳までの登山道では名物のヒメサユリが終わりかけであったが出迎えてくれた。まことに快適な稜線を進み小朝日岳で展望を楽しむ。左、右、左と稜線が連なり、大朝日岳の肩に山小屋が見える。右は中岳で、さらに西朝日岳、竜門山と以東岳までの大縦走路が連なる。目的地まであと2時間足らず。がけ地を下り、大朝日岳までの稜線を進む。銀玉水を過ぎたあたりで急に脚に異変がきた。大朝日小屋に着いたのは、9時15分ころであった。

(プリントしてた写真から)顔に疲れが見える

脚を引きずり山頂に立つ

小屋の前でしばらくの間脚をさするが一向に回復しない。ままよ、山頂までは標高差90m、15分ほどである。杖2本で登り始めた。ところが中間あたりで左右の大腿部と太ももがつってしまった。幸いなことにほかの登山者はいない。ズボンを下げ、エイドバッグから鎮痛剤バンテリンを出し、塗りこんだ。何分マッサージしただろうか。痛い脚を引きずり、山頂に到着したのは10時ちょうどのことだった。後悔が今よみがえる。このコースで注意することとして、「最初から飛ばすな」と言われていたのであった。「飛ばすとばてるから、水分、塩分を摂って」と言われていたのに、水は摂ったものの塩分が足りなかったのだろう。頂上は霧に包まれてしまった。もう少し待てば霧が晴れ展望がきき、飯豊連峰が間近に拝めるかもしれないが、この脚では早めに下りたほうがよさそうだ。ゆっくり下りても脚がつる。階段状のころは手と尻をつきながら下りた。小屋から小朝日岳までは普段の倍の時間をかけ進み、小朝日岳はう回路を選択した。またつらないように水を飲み、塩飴をなめ、ハナヌキ峰分岐を下る。午後3時前、九十九折の坂差し掛かり、朝陽館の建物が見えたところで安堵した。もう大丈夫。車に着いたのは、午後3時ちょうどであった。帰りは、朝日のぼんぼの湯で汗を流し、午後6時家に着いた。普段飲まないビールを1缶飲んで、脚にサロンパスを吹きかけ寝たのは8時前であった。(大朝日岳の写真データが探せず済みません)

著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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