2021年4月、八幡山岳会総会が八幡タウンセンターホールで行われた。例年であれば日帰り温泉施設ゆりんこに集い、議事のあと宴会になるのだが、コロナ禍での3密を避けるため2m離した机1台に1人座り、サクサクと議事進行、承認して散会した。いよいよ2021年の登山シーズンが始まる。私は4年間務めた鳥海国定公園の自然公園管理員を辞め、気の向くまま、自由な時間に山行できる身となったことがうれしい。しかし、1つ歳取とったことで体力がその分落ちている。水7㎏を詰めたリュックを担ぎ約7㎞をたまに歩いているが、たぶんトレッキングの体力づくりにはなっていないだろう。山の体力は山登りでつくのだから。自然公園管理員として山を見回る2、3時間が、体力づくりに役立っていたはずなのである。
21年度の山行は九州の百名山5座から
21年度の山行は5月中旬の百名山5座から始めると、昨秋から決めていた。本当なら20年5月に行くつもりで資料集めをしていたのだが、安倍総理が訳も分からず緊急事態宣言を出してしまい、日本山岳会も登山、トレッキングの自粛を呼びかけた。我が山岳会もそれに倣う形となり、遠征山行は自粛することとなった。山に登る時は事前にいつ、どこに登るか、LINEで届け出する約束なので勝手は許されない。したがって、昨年初の遠出の山行はコロナの恐怖が落ち着いた8月末の薬師岳1泊であった。私が見回りを担当する鳥海山湯ノ台口には一昨年と比べれば若干少なめの登山者数であったが、関東、長野はては九州からのナンバーも6月に見られたものである。「山は逃げない」とよく言われ、コロナ感染リスクを冒さないことが大事なことは分かる。しかし、前期高齢者になった身には、1つ歳を取るのは山行のリスクが2目盛も上がる気がして穏やかではいられないのである。東京近辺、大坂近辺は緊急事態宣言が出されているが、公共交通機関を使わず車中泊の山旅ならリスクは最低限なはずと、5月15日から10日間の由布岳と烏帽子岳を加えた九州7座の山行計画を立てたのである。
九州南部、19日早い梅雨入りで断念
登り口別の登山届を9枚準備して出発の日を待つばかりとしていた5月11日、九州南部の梅雨入りが宣言された。平年より19日早い梅雨入りである。私の目論見では春の訪れが1週間は早いと踏んで、ミヤマキリシマの見ごろに合わせて日程を組んだのに残念、残念、残念。沖縄、奄美の梅雨入りも1週間程度早かったが、九州はまだまだと思っていた矢先の梅雨入りである。酒田から湯布院まで1200余㎞、2日かけて行って九州全山雨では悲惨だ。5月の九州山行は中止とした。だが、婆さんをショートステイに預けることは決定済みである。代わりに行ける山を見繕う。選定の条件として次の3つを上げた。その1、雪が残っていない。その2、標高差がそんなにない。その3、15日から1週間は梅雨入りしない。北海道、北、南アルプスはは雪でだめ。そうなると登っていない百名山は奥秩父の2座と南関東の2座のみ。雲取山は10時間超、丹沢山も9時間超の標準タイムであるのでシーズン初めとしてはきつい。でも行くしかない。両神山、雲取山、天城山(万三郎岳)、丹沢山の4座を体力に合わせて登る「観光を混ぜた無理しない登山」で行くことにした。
九州北部、四国、中国も梅雨入りに
5月15日土曜日、9時に自宅を出発。国道7号は新潟県村上市を走っていたころ、11時のラジオニュースで20日前後早い九州北部、四国、中国の梅雨入りを聴く。このときは無理して九州に向かわなくてよかったと思った。黒崎PAで唐揚げ定食を食べ、長岡Jctから関越道に進み、寄居PAで緊急事態宣言が延長されたことで高速の休日割引の不適用も同様に延長されていたことを知った。くぅー、2000円は痛いぞ。花園ICで下りたら高速料金は6640円だった。車で埼玉県に入るのは初めてである。国道140号を西に、秩父市に入る。皆野で国道から県道37号に入り、コンビニで明日の朝食を買い、夜になる前に両神神社登山口の下見に行くことにした。県道279号となっているが、薄川沿いの道は途中から林道と言ったほうがいい。有料駐車場は傾斜があって車中泊には向かないので、一つ手前の駐車場に停めることにして、一旦道の駅両神神社薬師の湯へ戻った。明日の天気は雨予報だ。