武尊山を下山し12時に駐車場に着き、花咲の湯で汗を流し昼食をとった。露天風呂から皇海山が眺められることを後で知り、内風呂のみで上がってしまったのは残念だった。食事を済ませ明日登る至仏山登山口の下見に国道401号を北上し、片品村戸倉へ向かった。駐車場の位置を確認し沼田へ戻る途中、吹割の滝に下りることにした。片品渓谷にあるこの滝は、河床の岩が割れ、水が落ちる特殊な形で、高さ7m、幅30mほどではあるがミニプチナイアガラのような名勝である。道の駅白沢望郷の湯からは方品川の河岸段丘が一望できる。ここの下流は、2016年2月のブラタモリで真田信幸が城郭を整備した沼田城を紹介した場所で、タモリが地形に目覚めた場所であることがうなづける。私は、明日の晴天を願い、とんかつ定食とビールで英気を養い、車中のベッドに入った。
戸倉からバスで鳩待峠へ
2018年7月18日、上州北部は晴れ。5時半で白沢を出て、6時に至仏山登山口、戸倉バス停に着いた。定員のハイカーを乗せたバスは6時20分に鳩待峠に向け出発した。7時に駐車場へ着き、5分ほど歩き鳩待峠休憩所に出ると、国立公園尾瀬の看板がひときわうれしい。靴底を消毒して山ノ鼻まで川上川沿いの道を1時間ほど下る。順調に歩みを進めると、木道脇の湿原の水芭蕉が刈り払われている。クマと遭わないために冬眠明けのクマの好物水芭蕉を刈っていると説明されている。40分歩いて山ノ鼻ビジターセンターに着いた。至仏山まで2.9㎞の道標を見て登山道に入ると、木立の左手に朝日を受けた至仏山が早くおいでとほほ笑んでいる。右手を見れば尾瀬ケ原の彼方に燧ケ岳のゴツゴツした頂きを薄青いシルエットで見せている。2年前に燧に来たことを思い出す。
尾瀬ケ原と燧ケ岳のパノラマビュー
8時、いよいよ登山開始だ。コースタイムは3時間、蛇紋岩の登山道との格闘が始まるが、ここは一方通行なので下山者にペースを乱されることがないのがうれしい。至仏山は古生層に属しているため森林限界が低く、そのため灌木帯が広いので高山植物の種類も豊富である。残念ながらこれを楽しむ余裕はなく、ただ黙々と40分ほど登り、中腹から振り返ると尾瀬ヶ原とその向こうに燧ケ岳が聳えている。みんなこのパノラマビューを期待して登ってくるのだろう。道が木道に変わると至仏山の頂が望める。もうすぐ、あとわずかと唱えながら登り、9時45分山頂にとうちゃこした。至仏山頂の石碑がやけに立派に置かれている。どうして記念写真を撮り終わったらさっさと退かないのだろう。全くもって迷惑登山者の多いことか。左手にコンパクトカメラを持ち、しかたなく自撮りした。
小至仏山からの眺めは最高
10分足らずの滞在で小至仏山へ下山する。眺めは素晴らしいが、岩稜歩きが続くので慎重にと言い聞かせ下りる。小至仏山へは10時半前に着く。もう一度尾瀬ケ原と燧ケ岳を瞼に焼き付ける。東西6㎞、南北2㎞に広がる尾瀬ケ原を歩くのはいつのことになろうか。中秋のころ妻を連れて山小屋2泊でゆっくりと歩くのがささやかな望みなのだが、はたして・・・ 悪沢岳を下ると森林の道になる。段差のある岩や泥んこの道を4㎞たどり鳩待峠に着いたのは11時35分であった。すぐに駐車場に行き帰りのバスに乗車する。戸倉で自家用車に乗り換え、三度目の望郷の湯に入る。昼食と入浴の1千円パックでうどんを食べ、3か所分の土産を買い午後2時過ぎ沼田市を離れる。あれから2年と3か月余り、沼田市へ寄っていない。皇海山が残ってはいるが、果たして登る気があるか今のところ分からない。