一年に一度の山岳会行事に「県外登山」がある。研修部が計画し、会員から参加者を募り、ハスの手配、宿の予約を行うものである。この年の部長は新保さんで、1泊2日で谷川岳登山、計9人の参加であった。2015年10月17日朝7時、酒田を出発。関越道、水上ICを下り、12時50分土合、谷川岳ロープウェイ駅に降り立った。

ガイドつき電気バス

1日目は谷川岳観光

大型観光バスが行き来する。登山は明日なので、まずは観光となった。電気バスで一の倉沢に向かった。遠く離れていても大岩壁が迫ってくる。帰りは歩いて戻り、谷川岳山岳資料館に寄った。たくさんの昔の登山用具にまじり、加藤保男のピッケルが置かれてあった。アルミでできているのか、白銀色のそれはなんとも頼りなさそうであった。いったん今夜の宿、土合山の家に荷を下ろし、夕食まで間土合駅に行き、486段の階段を下りプラットホームに下りた。1960年代上の駅から何百人もの登山客が降り立ったモグラ駅ではあるが、新幹線と高速道路によりその役目を終え、無人駅となる。ドラマ「クライマーズ・ハイ」の舞台となったことから観光客が来るようになった。午後5時前、宿に戻り、風呂と夕食とビールを堪能し8時に就寝した。天気予報は晴れである。

加藤保男愛用のピッケル。最後のエベレスト前に貰ったもの
土合駅、プラットホーム階段

天神尾根を肩ノ小屋まで

18日、7時15分ロープウェイ駅に着いた。晴天の日曜日、改札は長蛇の列である。田舎人私にはこの列の意味が分からない。東北の山ではありえない光景に、25分並んでようやくゴンドラに乗ることができた。天神平駅から二組に分かれた。オキノ耳まで行く組7人と天神山周辺組の2人である。私たち7人は天神平をあとにし、天神峠分岐までのトラバース道を進んだ。振り返ると駅舎の屋根に朝日が反射している。紅葉が終わり気味の木々の間から谷川岳山頂、二つの耳が見える。熊穴沢避難小屋から行列が長くなって、前進するのに時間がかかる。森林限界を過ぎると日差しが強く、長そででは暑い。会長は半そでである。ほぼコースタイムで肩ノ小屋に着いた。

天神尾根から見る谷川岳

双耳峰、谷川岳に登頂

リュックを下ろし休息をとる。10分ほど休み、トマノ耳に向かう。万太郎山、平標山の稜線のさきに苗場山、東に至仏山が見える。上信越の山々が一望である。さらに10分稜線を進み、10時45分谷川岳の最高峰オキノ耳1977mに登頂する。登山者が狭い尾根に電線のスズメのように鈴なりである。ここからは一の倉沢を見渡せないので、さらに尾根を進み浅間神社まででる。一ノ倉岳方向の崖を見ると、ロープで登っている人がいる。簡単な食事を摂り、しばし山頂を楽しむ。11時25分下山する。肩ノ小屋、天狗の留まり場を過ぎ、木道を時々振り返りながら14時15分天神平駅に着いた。帰りは温泉で汗を流し、越後川口SAで夕食をとり、午後9時酒田に着いた。山岳会にとって実は、前年に雨で登られず引き返したリベンジ登山なのであった。

烏帽子岩と衝立岩
最高峰オキノ耳で記念写真
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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