2017年度の八幡山岳会県外登山は、前年に加賀白山から下山したとき、「白馬岳にしましょう」とノリで決定していたので、早々に計画することができた。今回は、70代後半の顧問二人が参加するので、無理の少ない日程を組んだ。そこで選んだのが、栂池高原から登り白馬大池で一泊、小蓮華山を通り白馬岳に登りここで一泊、3日目は雪渓を下り猿倉に下山するというものである。成功のカギは1日目、早起き移動後、何時に栂池高原に着くかと、乗鞍岳まで順調に登れるかであった。そんな思いを秘め、9月8日午前5時出発、酒田みなとICから高速に乗った。
天狗原、乗鞍岳を経て白馬大池山荘泊り
1日目、一行9人を乗せたハイエースは順調に糸魚川ICから国道148号を南下していく。国道脇を流れる姫川を見ると前日の雨で濁流。前途に不安がよぎる。ゆっくり食事をとると到着が遅れると判断し、ローソンで弁当を買う。11時、栂池高原ゴンドラに乗車。駅舎で弁当を食べているうちに天候が回復してきた。12時10分登山開始。密生する太いネマガリタケの生えるぬかるんだ階段の登山道を登る。銀嶺水で一服し、13時40分天狗原に着く。休憩もそこそこに乗鞍岳までの坂道をゆっくりと登ると1時間半後乗鞍岳のケルンに着いた。ここからは白馬大池まで下りになる。大きな岩の道を慎重に下ると、白馬大池の青い湖面と山荘の赤い屋根が見えた。明日登る小蓮華山を左に眺めながら湖水を巡り山荘に着いた。4畳間に3人ずつ荷を置き、外に出て無事到着を祝し、缶ビールで乾杯した。夕食は山荘名物のカツカレーを食べ、20時に就寝した。
小蓮華山の尾根道を経て白馬岳へ
2日目の9日5時半からの朝食では、オーストラリア人一行8人と会話を楽しんだ。もちろん英語でではなく、日本語が流暢な女性がいたのだ。6時45分、まずは新潟県最高峰の小蓮華山へ出発。緩やかな尾根道雷鳥坂を登ること2時間15分で小蓮華山に着く。ここまで9人一緒に登ってきたが、顧問二人が遅れだす。白馬岳まではコースタイムで1時間40分、見晴らしもきくのでそれぞれのスピードで登ることにした。三国境から切れ落ちた斜面の登山道を行き交う登山者とあいさつを交わしつつ、最後の急登を一気に登り、一番最初に山頂の方向盤に着いたのはM田氏で、10時20分であった。後立山の剱岳、立山が間近に見え感動。全員そろったのは1時間後で、登頂集合写真を撮った。11時45分、白馬山荘に到着。チェックインより先に外のベンチで宴会が始まる。ビールの誘惑に誰も杓子岳に登ろうとしない。飲みたいだけ飲むことにし、2号館の鑓に鼾組、穂高に静か組に分かれ荷を置き、17時の夕食を待つ。夕食後夕日を見に外に出たあと部屋に戻り、新潟の銘酒菊水を飲み19時過ぎ深い眠りに就いた。
花畑の葱平、大雪渓を下り猿倉へ
3日目はただ下りるだけなので急ぐ必要はない。6時前の遅めの出発となった。頂上宿舎から葱平までの急斜面を慎重に下りる。ミヤマキンポウゲ、ミヤマシリカブトなどなどの花が残っている中を下りると大雪渓に取りつく。ベンガラを目印に滑らないように下り、雪渓の中央部で杓子岳を背景に集合写真を撮り、白馬尻小屋に着いたのは9時30分であった。トイレ休憩をとり猿倉駐車場に10時45分に着く。回送代行してあったハイエースに荷を積み込み、白馬八方のみみずくの湯で3日分の汗を流した。さっぱりしたところで、信州蕎麦店和味亭でそばを手繰りながらビールを飲むのは格別だ。思えば3日間天候に恵まれた山行であった。9人の顔に満足感が出ている。二日前来た道を北上すると、糸魚川を過ぎたあたりでA会長のスマホが鳴る。鳥海山湯ノ台口から登った30代男性が下山中に道迷いしていると警察からの連絡だった。数時間後、警察と落ち合ったと連絡が入り、やっと酒を口にすることができた。車の走行距離800㎞、登山距離16㎞、実行動時間13時間の県外登山は、10日19時半に幕を閉じた。皆に感謝したい。