2018年6月30日午前4時20分、戸隠山登山者用駐車場で目を覚ました。実は雨飾山の翌日6月16日に高妻山に登るつもりだったが、霧が濃くて登山を断念し、戸隠神社奥社と中社を参拝してから酒田に帰っていた。戸隠山は神話の山で修験の山である。2百名山に列し、多くの鎖場と蟻の塔渡りの難所があることで知られている。今年、山岳会の仲間が戸隠山に登ったとラインしていたが、今ネットで調べると蟻の塔渡りの巻き道もあるようなので、いつか北信五岳を登りに来ようと思った。戸隠奥宮へは、杉の巨木の林にまっすぐな参道が県道から伸びている。戸隠山へは奥宮脇から入山し、九頭竜山を経て一不動から戸隠牧場へ下山するコースが一般的なようだ。さて、6月29日に関東甲信は梅雨明け宣言されていた。昼過ぎ酒田を出発し、妙高高原ICで下り苗名の湯につかり戸隠に着いたのは8時半のことである。

戸隠キャンプ場の入り口

牧場から入り、一不動、五地蔵山へ

5時駐車場を出て、白樺食堂のところで登山届を出す。牧場から戸隠の尾根を見上げると上半分は雲の中で、雨が心配である。5時25分、牧柵を通り抜け沢沿いの登山道をゆっくりと登る。沢を何度も渡り返し進むと滑滝の難所にでた。滝の右側の鎖につかまり足を滑らせないように登る。沢沿いの道は蚊が顔にまとわりついてうるさい。ブヨに刺されでもしたら大変なので、ネットを被ることにした。6時40分、駐車場を出て1時間半余り、一不動に着いた。5分ほどの水分休憩を入れ、五地蔵までの尾根道を約250m登ることになる。ニッコウキスゲ、やアザミの咲く道を、二釈迦、三文殊、四普賢、五地蔵と標高を上げていく。不動等には石塔やら祠が置かれてある。五地蔵では多くの登山者が休憩している。ちょうど朝飯時の7時半だ、私もおにぎりを取り出し舎利元気をつけることにする。

五地蔵で休憩する登山者

六弥勒、七薬師、八観音、九勢至、十阿弥陀山頂へ

7時40分、六弥勒の分岐にでる。ここからは2353mの高妻山へ所どころ急坂の登山道となるのだが、霧が山を隠しどれほど急なのかは見えない。シャクヤクの咲く尾根道を八観音、九勢至までは何とか普通の速度で登れた。九勢至に着くと霧が上がってきて、山頂までの手強い急坂が見える。胸突き八丁の急坂を前に後ろを振り返ると、かなり登ってきたことがわかる。ようやく鏡の付いた祠のある十阿弥陀に着いた。ここからは薄い岩が何枚も立ち並ぶ、滑りやすく歩きにくい岩場の道となる。5分進んで、山頂標識が1本立っているだけの山頂に着いたのは9時7分であった。山頂からの展望は何もないに等しく、かすかに北アルプスが雲の隙間に見ることができた。登山開始から4時間5分、6.5キロ、標高差1180m。この先の乙妻山に行く元気はなく、久々に息切れした登山となった。

への字の口が辛さを物語っている

必死で下山し、田中陽希も寄った白樺食堂で

急坂の下山はいつも以上に慎重に下り、弥勒新道の分岐に着いたのは10時26分でほぼコースタイムである。ここで休憩をとることにしたら、小太りの若者が軽快に追い越して行った。今回の登山で抜かれたのは初めてである。休憩を10分で切り上げ、弥勒新道を追うが、影も見えない。追うのは諦め慎重に下ることにする。アップダウンが結構あり、斜面の道だったり、根っこの段差だったりを2本ストックを駆使し、太ももの張りを気にしながら下ると、ようやく牧場へ出る沢に着いた。牧場を横切り牧柵には11時40分、田中陽希も入った白樺食堂には11時55分に着いた。ここで登山は終わり、昼なので観光客と一緒に戸隠蕎麦を頼んだ。サービスで天ぷらが付いてくるのがうれしい。ゆっくり蕎麦を堪能して、戸隠神告げ温泉に向かった。

下山後姿を現した戸隠連山
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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