桃洞滝は秋田県森吉山の東に位置し、酒田からは秋田市を通り五城目八郎潟ICを降り国道286号を上小阿仁に入る。ここから県道を森吉山ダムを過ぎ、太平湖の手前で森吉山麓高原の野生鳥獣センターに入る。ここで車を降り、ノロ川沿いに歩いて1時間15分ほどの所にある。森吉山の周囲には有名な滝が多く、一例を挙げると、中ノ又渓谷にある安の滝、立又渓谷の幸兵衛滝などがあり、桃洞滝は小又峡上流部の赤水渓谷とは沢を別にした桃洞渓谷にある。桃洞滝の上部には中ノ滝、男滝があり桃洞滝はその形状から女滝である。森吉山には5年前の6月に旧森吉スキー場の登山口から登っているが、桃洞滝のことは全く知らないでいた。何かのテレビ番組でその存在を知り、名瀑の多さは鳥海山と似ていると興味を覚え水の豊富な時期に訪ねたいと思っていた。

森吉山ダムから眺める森吉山

2021年の梅雨と猛暑は異常

2021年は新型コロナウィルス大流行2年目で、マスクと消毒の励行により登山が許されている。山小屋も定員の半分以下の予約オンリーで営業しているところが多い。ところが私の予定と天候がマッチングしないことで、大幅に予定が狂ってしまった。5月の九州7座山行は梅雨の早期到来で流れてしまい、両神山と天城山に登ることになった。6月14日に関東甲信地方が梅雨入りし、南アルプス北部と中央アルプスの2座に行きにくくなった。梅雨明けは7月11日の九州南部を皮切りに17日まで関東甲信も開けてしまうが、今度は猛暑が日本列島を覆ってしまう。7月18日には鳥海山文殊岳で登山者がピックアップされている。我が家は暑い年でもお盆前の1週間ほど我慢すれば冷房いらずなのだが、今年は暑く扇風機2台が大活躍したし、妻からエアコンを買おうと言い出される始末であった。そんな中で、涼を求めての滝行である。

トウド沢の甌穴

ブナ林の遊歩道の先に

7月16日7時40分に家を出て、森吉山麓高原に着いたのはちょうど4時間後。鳥獣センター駐車場には5台ほどの車がある。12時スタート。400mほど歩き立川橋を渡りノロ川歩道に入る。登山道との分岐を直進し平坦な遊歩道を進むと釣竿を持った3人連れがやってきた。挨拶を交わしブナの大木が点在する歩道をなおも進む。スタートから2.9㎞、45分で赤水渓谷と桃洞渓谷分岐に着く。滝まで1.3㎞と標識にある。トウド沢は幅ひろで浅く、岩盤の上を水が流れている。やがて沢の縁の岩盤を歩くようになり、続いて右岸に渡渉するところで、大小の甌穴が現れる。さらに人工的に掘削した沢端の歩道を進み、桃洞滝に着いたのは13時10分である。落差約20m、幅7、8mほどで、水が岩肌を滑るように落ちる姿は感動もので期待した水量も申し分ない。それにしても女滝を称する滝は数あれど、これほど女陰を表した滝はあるまい。子宝の滝、安産の滝と言われるのもうなづける。別のおじさんが来たので10分ほどで戻る。

桃洞滝

野生鳥獣センター、イベントが素晴らしい

野生鳥獣センターへ戻ったのは14時20分であるから、往復2時間20分かかったことになる。シャツを着替えてセンターを見学することにする。コロナ対策で連絡先を書く紙に氏名と電話番号を記入し中に入る。館内は木調で明るく、森吉の自然が再現されている。展示しているものは特に目を見張るものはないが、6月から10月まで9種類のイベントがあるのが立派だ。ここは環境省の施設で平成16年5月に出来、基本6月1日から11月3日までの開館している。スタッフに「鳥海山の南麓にある猛禽類保護センターのある所から来た者だ」と告げ、館の維持や最近のゲストの状況などを話した。コロナ禍の人出に着いて聞くとやはり少なくなって寂しいとのことであった。

森吉山野生鳥獣センター
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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