11時に奥白根山を下山し菅沼に着いたら、天気が晴れに変わっている。だが明日はまた崩れる予報だ。天気のいいうちに赤城山に登ろうということで、約60㎞の山道を大沼(おの)まで南下した。赤城山は、黒檜山こそ1828mと高いが、火口湖の大沼(標高1360m)の周囲を固める地蔵岳、鈴ヶ岳そして駒ケ岳は1670~80mと低く、登山というより逍遥という言葉がふさわしい。テレビの山番組で、小沼(この)、長七郎山から鳥居峠を巡り、翌日駒ケ岳から黒檜山に登るコースを見たことがある。その外にも荒山高原、鍋割山に遊ぶコースも多様にあり、グループハイキングに最適の所である。
大きな岩場を登り黒檜山へ
午後2時半前に大沼湖畔の登山口駐車場に着いた。県道を少し歩き、「日本百名山赤城山、最高峰黒檜山1.1㎞」の看板がある登山口を出発したのは午後2時45分であった。すぐに急坂となり、樹木の間を縫うように登っていく。10分ほど登り振り返ると、樹々の間から青い水面の大沼と緑の地蔵岳がきれいだ。ここで樹木に巻かれてある「緊急時の位置ナンバー」に気が付いた。事故の際、119番通報する際、消防が位置を特定しやすくするため、黒檜山までの登山道に何枚か巻かれてあるのだろう。これは救助要請があった時、何分で救助に行けるかが計算できる新しいやり方で、ほかの山でも応用できそうである。そのうちゴツゴツした岩を跨ぐのに一苦労の急登となった。3時15分、「アンテナ山の左隣に富士山」の看板があっので、振り返って目を凝らしたが、140㎞先の富士は白い雲で見えなかった。傾斜も段々緩くなり、大きな岩もない登りやすい登山道になる。41分、今度は「小沼の上方に富士山」の看板があるが、遠望しても富士は見えない。
山頂から2分進んで、絶景スポット
大きな樹木がまばらになり、笹の茂る登山道を歩くと、3時40分分岐に出た。進むこと3分、黒檜山山頂に着いた。とりあえず三角点と登頂の証拠写真を撮り、北側へ歩いて2分の展望地に行った。武尊山、奥白根山、皇海山の方向にシャッターを切ったが、山頂部が雲にかすんでどれがどれだかわからない。それでも午前中の霧の奥白根山に比べると雲泥の差で、気持ちの良い登山となった。長めの休憩をとり、人心地が付いたら腹が減っているのに気づいた。そういえば朝、カップ麺とクロワッサンを食べたきり、昼飯を食べていないんだった。4時、分岐までもどり、さらに黒檜大神石碑を拝むために南下した。鳥居と石の小さな祠、それと黒檜大神と刻まれた大きな石碑がある。手を合わせ南峰をみると、小沼、長七郎山が上毛の大地にちんまり見える。駒ケ岳を下山路にしたかったが、分岐に戻り登ってきた道を岩に脛をぶつけないように下山した。4時56分登山口に無事着いて2時間10分の登山が終わった。2017年6月12日は奥白根山と赤城黒檜山の2座を登ったことになる。
ささや、天ざるうまし!
車に戻り、早めに遅い昼食を食べたい。大沼沿いに南下し、上毛三山パノラマ街道を前橋方面に下った。カーブの多い下り道で、何台ものバイクとスポーツタイプの車がすっ飛ばして上ってくる。午後5時半ころなのにそんなに飛ばすか。車をぶつけられないようにゆっくり目に坂道を下り、古民家風の一軒の蕎麦屋ささやを見つけた。店内は炉が切られてあり、動物のはく製もいろいろある。6時前なので客は一人だけである。土産物を売っている前の炉端に座り、天せいろ1300円を驕った。のど越しさわやか、あっという間に胃袋に消えた。土産を2品求め、前夜の宿、白沢高原温泉望郷の湯へ戻り、明日武尊山登山に備えることにした。