早池峰、岩手山を登り、次の東北の山に選んだのは、福島県の三つの山であった。7月25日、土曜日登山道の刈り払いで3時間半汗を流し、飲めないビールを2杯で切り上げ、翌早朝の山行に備え早くに床に入った。26日午前3時半に起き、4時5分車中の人となった。国道47号、13号、115号を通り、7時40分、安達太良山の麓、奥岳駐車場に着いた。あだたら山がどこにあるのか知らない文学少女が昔はいたことだろう。それほど高村光太郎の智恵子抄の一節は有名だった。さて、晴天の日曜日、車は30台以上ある。ロープウェーを使わずに登った人も多いだろう。今日は二つ登る予定だ。疲れるのは厳禁、8時30分の運航開始を待つことにした。

乳首山と呼ばれる安達太良山山頂の眺め

晴天の中、乳首山をめざす

安達太良山は、鬼面山、箕輪山、鉄山、和尚山などからなる火山群である。ロープウェーを使わなくても2時間半で登れる優しい山だ。登山者のリュックも小さいものが多い。爆裂火口の沼ノ平の荒涼とした風景を楽しみたかったが、昼までには下りたい。牛ノ背には行かないことにした。標高1340メートルの山頂駅で降りるとすぐに登山を開始した。仙女平分岐まで27分、乳首山と呼ばれる山頂まではところどころに点在する溶岩を見ながら登る。9時50分、登り始めて1時間であっけなく山頂に着いた。磐梯山、吾妻の山々が見える。これから登る山だ。記念写真を撮ってくろがね小屋に下りる。

山頂には祠と八紘一宇の石碑がある

温泉のある山小屋くろがね小屋

くろがね小屋は、温泉のある山小屋で、雪の降る所としては珍しく、通年営業している。山頂から峰ノ辻を通りくろがね小屋に向かう。すぐに硫黄のにおいがしてきた。温泉を引く樋も見える。きれいな小屋だ。湯につかったらさぞや気持ちいいだろう。またいつか、ここなら年をとっても来れる。後ろ髪などない頭だが、引かれる思いで、奥岳駐車場に予定の正午前、11時50分に着いた。山麓駅ではお約束のソフトクリームを食べて磐梯山八方台登山口に向かった。3時間20分のあわただしい山旅、第一幕が下りた。

人気の山小屋、くろがね小屋
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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