平成29年(2017年)3月、再任用で勤めていた図書館を退職、一般市民となった。速度違反をしても厳重注意を貰うこともない。4月からは、庄内総合支庁環境課主管の自然公園管理員として鳥海山湯ノ台口を中心とする区域の管理をすることになった。また、居住地の自治会長を務めることになった。自然公園管理員は自分の自由な日時に登ることができるが、自治会長は日向コミュニティの役員も兼務するので、夜の会合が年度初めの二月は多くあり、遠方のトレッキングに出かける時間は作れなかった。6月、4日運動会、11日寺清掃、18日山道の下刈り、25日鳥海山山開きと、6月の日曜日は行事が目白押しである。それでも梅雨前にスキをついて、2泊3日の山行を計画したのが、去年雨で登れなかった奥白根である。

この先が奥白根のはず?

関東以北の最高峰

奥白根山は、普通日光白根山と呼ばれており、日光群山の最高峰であり、男体山の奥院ともいわれる。6月11日、日曜日、午前中寺の掃除を終え、正午、酒田市を出発。奥白根を主に、武尊山、赤城山の3座に登る計画で群馬県沼田市に着いたのは17時30分であった。沼田ICから片品村へ続く沼田街道は別名とんかつ街道とも呼ばれ、とんかつ屋が国道沿いに何件もある。私が登山の拠点とした沼田市の望郷の湯は、北に武尊山、至仏山、北東に奥白根山、東に皇海山、南に赤城山が近いという絶好の場所に位置している。そのためかどうか、キャンピングカーが何台も駐車しており、誠に心強い。風呂に入り、1300円のとんかつ定食を食べ、8時40分に車中ベッドに入った。

菅沼登山口

白根山ロープウェーが休業とは

奥白根山には、丸沼からロープウェーで2000mまで登り、山頂に立った後五色沼を周遊するコースを計画していた。6時前起床、湯を沸かしラーメンとクロワッサンの朝食を食べ8時前に丸沼高原に着いた。ところが、ロープウェー休業の看板が出ていた。登山シーズンにはまだ早く、月曜休みとは。急遽、山の北側、標高1735mの菅沼登山口に向かう。駐車場には6、7台車がある。登山届を出し、8時35分登山開始。緩やかな登山道を進むこと50分、弥陀ヶ池まで0.9㎞の看板から急登となる。窪地には残雪も残っている。ブナの倒木も頻繁にある。素足にサンダル履きの外国人も登っている。2260mの弥陀ヶ池には9時50分に着いた。池の西側をたどり、白根山1.1㎞の標識どおり右の残雪を登る。白根山0.8㎞の案内標識は倒れているが、張られてあるロープを信じてさらに登る。

弥陀ヶ池から奥白根山方向は霧の中

霧が出てきて山頂を間違える

草地が掘られた登山道をひたすら登る。顔を上げ周囲を見渡すと、山々は霧に包まれている。ガレ場の登山道をロープに導かれ登ると、白根山/菅沼4㎞の看板が霧の中に出てきた。すぐに頂上の立て札があったので、三脚を出して写真を撮った。ところが奥のほうから男性が出てきた。ここは山頂ではないという。そういえば頂上の板の右上が欠けている。10分ほどアップダウンし、三角点のある本物の山頂に着いた。白根山2578mの看板が丁寧にも二つあるではないか。午前11時ちょうど本物の登頂写真を濃い霧の中撮影した。雨粒も大きくなってきた。長居は無用、急ぎ下山する。弥陀ヶ池11時42分、座禅山の山腹を20分で下り、菅沼の登山口に着いたのは12時50分であった。登山時間4時間15分、休憩はたったの5分、慌ただしい奥白根のトレッキングは、関東一の高山から何も見えぬまま終了したのである。

このように霧の中の奥白根山山頂
著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です