昨日、一昨日と山形県庄内地方は30度を超える山日和だったが、今日は午前1時過ぎから雨が降り出し、1時間に10分間、強い雨が降る最悪の天気になっている。ニュースは山岳遭難を伝えている。栗駒山では、11日行方不明の男性が12日の朝、自力で下山してきたのを発見された。新潟県米山では、10日、家族と登山に出かけて下山途中に行方が分からなくなった小学6年生が、11日朝母親の呼びかけに反応し無事発見された。報道だけを聞く一般人は、よかったよかったで終わるのであるが、山岳救助の実態を知っている人はその裏の事情を考えてみたくなる。
行き先を家族に告げていた・栗駒山
この男性は53歳と比較的若い。自力で下山したと伝えられているので、けがをしたとは考えられない。駐車場から間もなくの登山道で発見されたことから、前日道迷いし、夜明けから正しい道を見つけて下山できたとみられる。遭難の通報は、予定の時間になっても帰らなかったので、妻が夕方警察に通報している。警察は明け方から捜索を行った。夫がどの山にどこから登ったか知らせていたから、警察は翌朝から捜索できた、良い事例といえる。米山の遭難は、家族そろって下山しなかったから、まさかの遭難となった事例といえる。6年生ともなれば、自分で先にずんずん行くだろうし、諍いがあって後から来たのかもしれない。子供連れだけでなく、グループ登山は誰一人目を離してはいけないのである。6年生なら大丈夫と油断があったのではなかろうか。楽しい登山が一転、悲劇となった事例である。
鳥海山でも遭難事例発生
新聞報道によると、8月11日午前4時15分ごろ、65歳男性が道に迷ったと、家族を通して110番通報があった。鉾立から鳥海山に登ったとみられる。携帯電話で酒田署とやり取りで自力で下山していると話していたが、午後8時以降は連絡がついていない。同署などは12日早朝に捜索に向かう、というものである。どこで道迷いしたのであろうか。鉾立から御浜までは一本道。御浜から新山までも一本道。下山路、七五三掛から御田ヶ原分岐を鳥海湖に下りたのだろうか。それとも最初から新山には向かわず、鳥海湖辺りの散策だったのだろうか。鳥海湖の西側は登山道が入り乱れているがゆえに、案内標識も各所に立っている。地図と見比べればどの方向かは検討が付きそうなものである。12日は夜中から雨である。時折強い雨が降る。今日1時から、三の滝では54㎜、大平では70㎜の累積雨量だ。鉾立に捜索隊は集ったものの天候悪化により出発していない。すると、遭難者は仙人平の標識から4時間下ったと情報が入った。雨合羽は上だけで、おにぎり半分は持っているらしい。麓の雨でもすごいので、山はかなりの悪天候であろう。残念であるがうなづけるところもある。
道に迷ったら、まずどうするのか
この人の場合、親族から4時15分で警察に連絡が入っている。ということは、本人は、道に迷ったと親族と話をしているということだ。大抵は夜になり、帰ってこないので遭難した、探してほしいと連絡がくるものなのに。3年前の遭難では、今夜泊まる宿にキャンセルの電話を入れている。順番が違うと言いたい。道迷いの場合、携帯電話がつながる時点で、警察に現在の情報を伝えるのが一番最初にすることであると考える。そのうえで、現在地を特定してもらうなどすれば、捜索の範囲がぐっと絞られるのである。ヤマレコを入れてあればピンポイントで位置が特定できる。それから家族に連絡しても遅くない。さて、仙人平から4時間下山したということは、1時間10分で万助小屋である。さらに2時間で一ノ坂の登山口に着く。さらに45分歩けば白井集落に着く。ここまでくれば遭難したとは言わない。もう日が暮れてきた。彼は2晩目の夜をずぶぬれで過ごすことなる。明日は曇りの予報である。がんばれ同年男性。