2017年7月6日、後方羊蹄山を12時過ぎ下山し、トイレの洗面所で顔を洗い、夕べ買ったコンビニ弁当で昼食をとる。13時に半月湖駐車場を出て、くっちゃん温泉で汗を流し、羊蹄国道5号を北上する。小樽市の南にある仁木町は、山形県東根市もびっくりのサクランボの里だ。観光果樹園の幟を後にし、マッサンの余市町を抜け、裕次郎の小樽市から札幌自動車道へ乗り、旭川市へ急いだ。倶知安町から旭川市までは、240㎞、約3時間半である。旭川といえば「旭川ラーメン」。有名店のひとつ、「まつ田の正油ラーメンと餃子」を食べた。さて、車中泊場所を探さなくてはならない。道の駅ひがしかわとも考えたが、美瑛の名にひかれ「びえい丘のくら」にしたのが間違いだった。駐車場は狭いし、車がいっぱい、電車と踏切の音がやかましいの三拍子で、結局寝られなかった。でも本当の原因は、1本の缶酎ハイによる動悸かもしれない。
ロープウェイで姿見へ
大雪山とは一つの山の名称ではなく、大雪山国立公園地域にある2000m級の山々の総称で、その最高峰が旭岳(2290m)である。この山域に入るコースはいくつかあるが、ゴンドラが整備されている黒岳七合目コースと同じく姿見駅コースがある。大雪山を満喫するには縦走するのが一番だが、自家用車の身ではピストン登山をするしかない。7月7日5時に起きて美瑛を出発。道道213号を東に進み、忠別ダム湖から道道1160号の山道を登り、大雪山旭岳駅に着いた。この時間ゴンドラに並ぶ人はみな、本格的リュックを背負っている登山者である。6時10分発のゴンドラに10分乗り、姿見駅でトイレを済ませ登山開始したのは6時40分のことである。
5か所の噴気孔から水蒸気
大雪山は活火山である。姿見駅舎から長い木道を歩き姿見ノ池展望台へ行く。観光客向けの周遊コースにはチングルマ、ハクサンコザクラなどが咲いている。姿見ノ池の湖面には残雪があり、大雪山のシルエットは見られないが、ちょうど山頂に朝日がかかり、正に旭岳になっている。逆光のため、所々白いのは残雪か噴気かはっきりしない。いざ行かん。旭岳まで2.6㎞の木柱を横に見て、木柵とロープが張られた砂礫の登山道を登る。登山道は、所々にある大きな岩を回るようについており、その岩には白ペンキで道迷い防止のマーキングがしてある。石の除けられた道をジグザクに登り高度を開けていく。ぼぼ中間地点、標高1970mの7合目に着いたのは7時30分のことである。登ってきた道を振り返ると、姿見駅舎、その右に夫婦池が、南には残雪の美しい小旭岳、その先がトムラウシ山そして十勝の山々である。
金庫岩を登れば旭岳山頂へ
七合目からは、左手の地獄谷に切れ落ちる砂礫の登山道をウネウネと登る。2190m九合目を過ぎると、斜面一面にキバナシャクナゲが白い花を咲かせている。ニセ金庫岩を過ぎると急登は終わり、山頂への緩やかな稜線の道である。金庫岩から姿見駅まで、まっすぐ地獄谷の硫黄の白い岩肌が続いている様子は、生きている山を感じさせ壮観だ。8時10分、ついに大雪山の三角点とその傍らに立つ「旭岳標高二二九一米」の標柱に到着した。一等三角点「瓊多窟(ぬたっく)」選定100年記念の石碑が置かれてある。国土調査を仕事としていた私には、感慨深いものがある。山頂の標柱と一緒に記念写真を撮ってもらい、5分ほどの滞在で下山する。ガレ場の道を転げるように下り、9時20分過ぎ、姿見ノ池辺りは登山者が長蛇の列で、楽しそうに談笑しながら登るところである。私は9時40分にはゴンドラの人となり、3時間半の大雪山トレッキングが終わった。いよいよ今回の旅の二つ目の目的、I伯父さんと会うため、豊富町に向かう。