トラブルに備える用品は、トラブルが発生しなければ使わないということと等しい。使う予定があるから様々な山用品を購入するのであるが、中には未だに一度も使っていない用品もある。私の場合それは、シュラフであり、ダウンのパンツである。どうして購入したのか、なぜ使わないでいるのか、その理由をグダグタ説明したい。
飯豊縦走は夢のまた夢か
山でシュラフを使う条件は、一つに山小屋に泊まらない1泊以上の登山である。二つに山小屋が無人の避難小屋であり、寝具の準備がないことがあげられる。北アルプスなどの山小屋のほとんどが食事も提供する大規模な山小屋が多いのでシュラフは必要ない。ただし、テント泊をするのであれば、テントとシュラフとマットの三品を担いで登らなければならない。それ以外にも調理器具、食材などの荷物がリュックを重くすることになる。高年齢の私にとって、テント泊はしてみたい夢ではあるがなかなか敷居が高い。したがって山登り用のテントは購入していない。ではなぜシュラフを買ったのか。二つの理由がある。一つは、地元の山小屋鶴間池小舎に泊まるときのためである。山岳会では年に何度かに持つ搬入や小屋整備など希望する人が何人か泊まることがある。それへの参加は、婆さんの世話もあって実現できていない。もう一つの理由は、飯豊山縦走のためである。飯豊山は山形県と福島県の県境を30㎞以上縦走する山塊で、あこがれのコースである。
数ある山小屋は素泊まりのみ
私の想定しているコースは、飯豊町天狗平から梶川屋根を登り門内岳に取りつき、北股岳を下りて梅花皮小屋で一泊、梅花皮岳天狗岳と南下し御西小屋にデポし大日岳を往復し御西小屋で二泊目、飯豊山頂に登頂後切合・種蒔分岐から地蔵岳経由で大日杉登山口に下りるというものである。この二つの山小屋は基本、食事、寝具は自分持ちてある。何枚か毛布があったり、レトルトのカレーがあったりするが、何人も使えるわけではない。だから炊飯用具、食材とシュラフを担いでいく必要があるのだ。しかし、一人で縦走となるとなかなか腰が重くなる。山の経験を積めば積むほど年をとる。ソロで行くには荷物を担げるかが重要である。3日間の暑くない晴れも条件になる。なかなか思い切れないまま、65歳の夏が過ぎようとしている。
春先、秋の登山はダウンが必携
学校の夏休み期間、7月上旬から8月下旬は、基本的に飯豊の山小屋は管理人が常駐している。常駐してはいるが、何をしてくれる訳ではない。切合小屋だけは食事の提供をしてくれるが、ほかはねぎらいの言葉だけであろう。それはそれでうれしいのだが、荷物の軽さにはつながらない。人の少ない6月、9月は、夜の寒さが半端ない。シュラフに包まっても寒いことだろう。そこで必要なのがダウンの上下である。上着は夏山小屋どまりでも持っていくし、軽く温かいので使うが、パンツは持っていかない。だが、9月ともなれば足元の温かさはゆっくりと眠るのに必要条件となる。だから買ったのだが未だ出番がないままである。コロナ禍の今が、もしかして、この二つを最適な時期なのではとも思うが、8月になっても雨が続く。決断しきれないでいる昨今である。