2020年8月10日は「山の日」である。本当は8月11日と固定した日なのだが、今年はオリンピックのため繰り上げされた。「山の日」は2014年に制定された最も新しい祝日で、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としているが、この日特に重大な山の出来事があって選ばれた日ではないらしい。「海の日」があるんなら山の日があっても不思議でないなどと、日本山岳会などの団体が要望してできたものである。お盆休みが連続してとれるように12日にしたかったが、12日は御巣鷹山の惨事を思い起こすことから11日になったらしい。

鳥海山湯ノ台登山口の人出は

8月7日から3日間降り続いていた雨は10日になってようやく上がった。酒田の気温も33.5度とこの夏最高を記録している。晴れを予想していたのか、雨の翌日としてはまずまずの人出があった。鳥海山の南麓、湯ノ台コース登山口の車道終点駐車場には、10時半で48台の車が止まっている。遠い所のナンバーは、大分、久留米、姫路、神戸、大阪、札幌などがある。地元庄内ナンバーは14台と少ない。去年は土曜日の好条件と天気が時々雨の悪条件であったが、70台余りが押し寄せ、道路に片側駐車の列延々、第2駐車場には20人以上の団体がマイクロバスで降りていた。今年は7月からの雨で全般少ないが、やはり新型コロナの影響を感じざるを得ない。

湯ノ台登山口、車道終点駐車場

自然公園管理員の仕事とは

山形県自然公園管理員になって4年目になる。設置要綱によると、自然環境の保全に相当な知識を持ち、活動を行える、担当地域に居住する原則65歳以下の者に依頼する、とある。(おっと、年齢からすると今年が最後の年か。)活動日数は年間100日、担当区域を巡視する。今年から月別の日数はあらかじめ決められてある。県全体で20人おり、庄内は「磐梯朝日国立公園」に3人、「鳥海国定公園」に3人、プラス飛島1人である。活動内容つまり仕事は、①許可等事項の履行状況の監視、②道路、避難小屋など公園施設の維持管理状況、清潔の保持状況の監視、③公園利用の規制について注意喚起等、④公園法等の違反防止と違反発見後の対応である。この文面だけ見れば、巡視して事実確認して、違反あるいは異常があれば報告すればよいように見える。が、前任者から聞いた持ち物は、鉈と鋸を腰に帯びてというものだった。

薊坂を登る登山者

登山道の整備が巡視に欠かせない

つまり、簡単な改善箇所は「自分でバンバンせよ」ということである。登山道に張り出している枝があれば鋸や鉈で枝打ちするのである。また、一度巡視して別の道具がなければ直せないものなら、可能な限り、次の巡視でその道具を持ち、直すことになる。したがって、下刈鎌や大引鋸を持つこともある。湯ノ台コースの場合、登山口から滝ノ小屋までは旧八幡町、滝ノ小屋から上は遊佐町と下刈りの管理が分かれている。請け負った者が、時機に下刈りをするのだが、下草や枝は毎日伸びるし、風が吹けば枝も折れるしたまに木も折れる。だから、実用として剪定鋏は便利である。八丁坂の途中まで笹が覆い被さってくるところがある。巡視の度、顔や体にかかる笹や枝をチョキンと鋏む。このほかに気になるところを直すというより、より安全にかつ快適に登れるように整備するようにしている。これはある意味、不要なことなのであろうが、まぁサービスということだ。このことについては、次回お知らせしよう。

著者

わたるくん

1955年生れ 登山を頻繁に行うようになったのは退職後、地元の山岳会に入ってから。 2017年から2020年まで山形県自然公園管理員(鳥海国定公園)。

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