駒ケ根もしらび平も長蛇の列
10月3日日曜日、午前4時に起きる。田切の里のトイレで顔を洗い、朝食はパンで済ませ、バスに乗るため駒ケ根駐車場に向かう。駒ケ根駅から菅の台バスセンターに向かう車の列は見られない。5時前なのに車がないのは変だぞ思っていたら、菅の台駐車場はすでに満車の看板だらけで一番奥に誘導された。リュックを担いで列に並んだのは午前5時前。わかないまま最初に並んだのがバス乗りの列で、10分ほどして切符売り場に並ばないといけないと知る。100m以上歩き、最後尾に付く。5時半を過ぎ空が白んできたが列は100m進んだだろうか、まだまだ切符売り場までは遠い。6時15分ようやくバスとロープウエー往復チケット4200円をゲットする。55分後バスに乗ることができた。菅の台には2時間10分立ちっぱなしであった。バスは駒ケ根公園線道路を斜面をこするがごとく23カ所の曲がりをくねり、30分でしらび平らに着いた。一気に800m標高を稼いだのである。しらび平駅で整理券をもらい、バスロータリーで寝ころんでいる登山客に交じりリュックを枕に日なたに寝ころぶ。待つこと1時間20分、9時03分のロープウエーにギューギュー詰め7分間で標高2617mの千畳敷駅に降り着いた。駒ケ根の駐車場から実に4時間半かかり登山口に着いた。たぶん紅葉の見ごろとなればもっと混むのであろうが、並ぶのが苦手な田舎者には余りに長い時間であった。
千畳敷カールと宝剣岳
木曽駒ケ岳は木曽山脈の最高峰である。木曽山脈などという人は今はいないだろうが、昭和40年代前半に社会地理を習った頃は、飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈だったはずである。それがいつしか北アルプス、中央アルプス、南アルプスの名が普通になった。木曽駒ケ岳は木曽谷と伊那谷にはさまれていてどちらからも登ることができるが、ロープウエーのある伊那側から登るのが95%以上であろう。千畳敷駅から駒ケ岳山頂までは2時間10分のコースタイムでしかなく、往復で4時間足らずなのだから。
千畳敷駅から出ると目の前に千畳敷カールと宝剣岳の鋭い岩峰が目に飛び込んでくる。一通り目の前の岩稜を眺めわたし、宝剣池に下りたのち八丁坂に取り付く。乗越浄土までひたすら登ること40分、下を振り返ると登山道を行き来する数百人と駒ケ根市街地、その先の南アルプスの山々が見える。宝剣山荘を抜け中岳へと向かう。中岳は大きな岩が積み重なっていた。四肢を使い、人をかき分け今度は駒ケ岳山頂山荘へと下る。10分で下り終えいよいよ駒ケ岳山頂へ登り返すこと15分、10時52分木曽駒ケ岳山頂に立った。昨年9月、御嶽山に登った時木曽側から眺めた山に立ったのである。山頂には方位盤と駒ケ岳神社の社がある。それほど感動がないのはこれまで一番大勢の登山者がいるためか、それとも登山時間が短いためか。それでも宝剣岳から空木岳へ続く縦走路、乗鞍、御嶽、南アルプス越の富士山の眺めは素晴らしい。10分の滞在で山を下りた。
宝剣岳には登らず下山
駒ケ岳頂上山荘から中岳に登りながら、宝剣岳に登ろうか、そのままカールを下ろうか悩んでいた。登りたい気持ち半分で宝剣山荘に着いた。宝剣岳をもう一度眺めると数十人が岩峰に取り付いていて、2人が山頂で万歳している。昨日の焼岳もあり、脚の疲れを感じたので宝剣岳は断念した。乗越から千畳敷カールを下り、12時10分駅に着く。40分待ちしらび平駅に着いたのは午後1時前。ほぼ満員のバスで下山すると、北御所バス停で男性2人が乗車してきた。多分、乗越から伊那前岳~うどんや峠を下ってきたのだろう。続いて檜尾橋バス停て若者が乗った。彼は宝剣岳から檜尾岳に登り檜尾尾根を下りてきたのだろう。安直な登山に飽き足らない骨のある登山者もいるのがなぜか嬉しかった。バスは菅の台バスセンターに着いた。この時間、当然乗車の列はなく閑散としている。駐車場までの坂を登り、駒ケ根を後にしたのは2時過ぎで、諏訪市の片倉館千人風呂に入り、帰路に着いた。